川崎区の歯医者、歯科

日本口腔インプラント学会 支部学術シンポジウム

2010/08/29
日本口腔インプラント学会
関東甲信越支部
平成22年度学術シンポジウム
に参加しました。
メインテーマは”天然歯の保存を考えるーインプラントは天然歯を超えられるかー
最近の当インプラント学会は、インプラントそのものより”安全性”など周辺問題を取り上げる傾向がる。
社団法人としての社会的責任、使命の重さからくるものと、学会員の多さそれに対する警鐘を鳴らしているものと思われる。そこで、治療の一選択肢としてのインプラントを見つめなおすために、他の治療見地との比較をやってみようという新しい視点からの試みであり、明日からの日常臨床に大いに有用な話であった。
以下自分用のメモなので乱筆ご容赦ください。


プロローグ
 具体的には、保存困難な天然歯の保存に努めるのと、抜歯してインプラントに置換するのとどちらが優位か?である。そして、インプラントは天然歯の代替となりえないという認識を深めるのが目的。
セクション1 天然歯の保存を考える

天然歯および骨の臨床的画像診断(日大松戸金田教授)

1、歯および顎骨の画像検査法
歯槽硬線がない場合、口内法でも急性骨随性白血病の疑いが診ることができる。
CT,MRIはボクセル単位をコンピュータで解析する。
backprjection逆投影法が512*512の連立方程式を360度回転し、水を基準としたCT値を計算し画像を作り出している。
CTは断面像ではなく、断層像。だから   がでる。
マルチスライスCTは一度に複数の断面を合成してる。
CT画像の表示条件について
windowレベル。
硬組織レベルと軟組織レベルの再構成の使い分ける。
オトガイ孔の副孔(分岐)率は10%以下(文献)。
MRIの原理
人体の水素原子を対象にしている。
原子核を中心としたスピン構造。
ラジオ波をとらえる。
波長1mのラジオ波を与えると信号は発生する。
通常のレントゲンとは異なる。
被爆がなく、血流情報も得られる。2%で脳大動脈流が見つかる。
いっこくどうはMRIで腹話術の破裂音を再現。
加齢にともなう骨髄の脂肪化。25歳でなる。
骨髄の検査にMRIは得意。CTではわからない。
歯の健康と脳への影響。
脳梗塞を起こしにくい。とうデータもある。
より効果的な歯内療法とその臨床的有用性
須田英明(東京医科歯科大学)

一年間の根管治療は13501152件
2兆5千億円の総歯科医療費のうち、北米並に換算するとエンドだけで1兆円かかってしまう。
歯内療法は保険治療にそぐわないものといえる。
世界的にはマイクロスコープによる、手探りからしっかり視認した治療へと変化してきた。コンカンの見落とし率は高いものだった。特に下顎第一小臼歯の2根管あるいは3根管もある。
Vertucciの根管形態分類がすべて出現するのは
上顎第2小臼歯
どうしてもステレオタイプにとらえてしまう。
ProRootMTA 1g=1万円と高い穿孔封鎖材。
画像診断はCBCTが非常に重宝している。
CBCTは解像度は低いが、内部構造がよくみれる。
マイクロスコープは表面構造がよくみえるので、あわせ技で診断能力を飛躍的に向上できる。
高度先進医療は高いが、ニーズも多い。
日本人の平均寿命が延びるのは、歯内療法をより一層困難なものにしている。
加齢にともない、歯随腔が狭くなるから。
GPより、学生の治療のほうが丁寧。
さて、問題は根尖病巣がインプラントに及ぼす影響について。とりわけ垂直性歯根破折が多い。
根管イスマス
15号のファイルが飛び出しただけでも、根尖にひび割れを起こしてしまい、将来の破折を誘発していることが多いと言える。
そこで、歯内療法はしないほうがよいので、暫間的間接歯随覆随、テンポラリーセメントのソフト(カルボ)が一番よい。水酸化カルシウムより扱いやすい。
迷ったときは、とりあえず歯随保存を試みる。
天然歯における歯周治療の現状
鶴見大学 新井高教授

歯周病のリスク因子は
発炎因子外傷因子、そして全身因子に修飾される。
インプラント周囲と天然歯周囲の細菌をPCR法で分析。
ほぼ共通した細菌叢が検出された。
基本はやはりイニシャルプレパレーション、すなわちプラークコントロールである。
骨補填材はかならずしも繊維性結合がえられてない。長い上皮性付着があるだけ。
パーシャルデンチャーの天然歯への有用性
鶴見大学 大久保教授

患者さんがつよく固定式を望んでるケースで、
戦略的抜歯を伴うオールフォーオンのインプラントブリッジを装着した。果たしてこれが正しいのであろうか?
橋梁構造でフレームワークした金属床義歯で、クラスプ部分のみポリカーボネートにしたノンクラスプ義歯で、機能交合が回復できる。
まず、残存歯の抜歯をできるだけ回避し、それぞれの希望に沿った治療を選択することが大切で、優劣は付けがたい。
有床義歯の限界
すれちがい交合。とくに片側遊離端2歯欠損はあきらかな優位性がある。
すれ違いは矢状面回転(ファルクラムライン)がおこり非常に困難。様々な抗回転設計。とくに残根上のコーピングが非常に有効。よってこのような残根を戦略的抜歯してはならない。
またすれちがいにおいて、インプラントの優位性のエビデンスはない。
20021McGillコンセンサス会議。
下顎無歯顎症例では、2本のインプラントによるバーアタッチメント支持による義歯を奨めるべきである。
症例として、ピエゾグラフィーによる印象で治療義歯。
FGPテーブル。無調整でセットできて、前方側方運動しても義歯は安定。床外形の調整より交合を優先して調整をはかるべきである。
天然歯における補綴とインプラント上部構造の相違点
東京医科歯科大学インプラント、口腔再生医学準教授
塩田 真

生存率の比較
ブリッジ、単独インプラント、連結インプラント
10年生存率で90%弱で横並び。
歯根膜がない=クッション、防御機構がない。
インプラント補綴と一般補綴との違い
スクリューの多様
=固定効果、可綴効果
=既製パーツの使用(簡便かつ信頼性のある治療)
披圧変位性(インプラントは垂直に動かない)
応力集中の可能性:側方荷重で頸部に集中。
↑インプラント補綴の注意事項ともいえる。
補綴領域の増大。
設計自由度の増大。
 支台の位置本数範囲荷重形態の指定が可能である。
すなわち能動的創造的補綴が可能となった。
元来、インプラントの脆弱性に基づく考えから、信頼性を支えるデータが増えてきた。
例えば、長さ。
ショートインプラントでも95%と高い生存率。
シングルでも優位差がなくなってきた。
古い文献だと機械研磨面のインプラント体を対象としていたが、ショートインプラントを称える論文はラフサーフェースを主体にしている。つまり、粗造面状のインプラント体が臨床成績を向上させているともいえる。
C/Iratio
ブラキシズム:技術的合併症は起こりやすいが、脱落の原因にはならない。
天然歯との調和の必要性
アンテリアガイダンスとしてのあり方
負担能力 交合様式にエビデンスなし。
上部構造作成の先進性
形態印象が不要で、位置関係のみスキャンすればよい。
CADとの相性はとてもよい。
特有の問題
位置の不動性:天然歯とのズレ。
構造の特殊性 
治療の独立性 幅径の非対称はブリッジが優位
インプラント補綴は領域を広げた。
越えてはいない。
セッション2
インプラントは天然歯を越えられるか
(1)インプラントは第一選択なのか
新潟再生歯学研究会 榎本紘明

まず、経済面の問題があるのを前提に。
エクストリュージョンで歯質を3mmだすと飛躍的に
維持が向上する。
天然歯をいかに残すか数々供覧。

(2)インプラントの成功条件とは?
日大松戸インプラント学 準教授 加藤 仁夫

1998 トロント会議
1、患者と歯科医が機能的審美的に上部構造をよく支持している。
2、インプラントに起因する痛み、不快感、知覚の変化、感染の兆候がない。
下歯槽神経麻痺、インプラント周囲炎など
3、臨床的に検査するとき、個々の連結されてないインプラントは動揺しない。
オステオインテグレーションの喪失など。
4、昨日開始1年以降の経時的変化がない。
残存率と成功率とは違うことがわわkる。
臨床的に何年もてば成功という基準もない。
厳密に成功率をこの基準に照らしあわせると成功は
少ないのではないか。
大学では、10年以上機能すれば成功とみなしている。
それ以降は体調変化などがあり、現時点で類推できない。
症例、ひどい歯周病にもかかわらず、インプラントが破折しても、天然歯は10年変化なし。インプラントの負け。
インプラントには歯根膜がない
圧コントロール
知覚ない
浸出液がなく、感染に弱い。
インプラントの善し悪し
Problem Listの作成
患者側、術者側、システム、治療時期などの問題点を洗い出す。
インプラントは天然歯の脇役と考える。

(3)種々な欠損に対するインプラントアプローチ
昭和大学 補綴科準教授 尾関雅彦

中等度の吸収の上前歯部なら、スプリットキャストで骨移植なしに埋入可能。
状況によっては骨造成の必要なケースもある。
ただし、このような外科ストレスを望んでる患者さんはいない。なので、歯科医は可及的に吸収を予防する。
たとえば、嚢胞摘出後しばらくすると骨を失うので、同時埋入をする。そのかわり安静期間を2倍ちかく要する。
持病があって、低侵襲で行う必要がある場合。
潰瘍性大腸炎。安定期だが、ストレスによっては再現の可能性がある。特に、投薬を極力避ける。
拒食症による高度のカリエスでも有効。
上顎エナメル上皮腫→血管柄付き肋骨移植
インプラントに携わるものは、最新技術の研鑽に
励むべきであろう。

(4)インプラントを用いた無歯顎へのアプローチ
日本インプラント臨床研究会 田中譲治

フルマウスは最低6本埋入するが、撓みによる破損が
懸念されるので、かならず3分割したインプラントブリッジとする。
オーバーデンチャーにすると、顎提吸収も防げる。
咀嚼効率もブリッジタイプより良いというデータもある。
エレクトロフォーミングの術者可綴式ブリッジ
(ハイブリッド)技工が簡略で修理もしやすい。
CADをつかった、ハイブリッド&ジルコニアのオールフォーワンブリッジ。アクセスホールが唇側でもOKで、自由度がある。
そういった意味ではメンテナンスや設計変更できる点は、天然歯を越えているともいえるのではないか?
義歯のリップサポートも大きいので、ブリッジより優位性がある場合もあるので、オーバーデンチャを選択する場合もある。
ディスカッション
1、埋入本数の基準
理想は一歯一本。
しかし、あるケースでは骨がなく、無いもんネダリになりかねない。
上顎オーバーデンチャだと台形配置。
下顎も同じ
(榎本)
まだ、模索状態。
フィックスブリッジは10本が指標。
骨格や食生活、対合の状態。により大きくことなる。
(加藤)
2、骨造成するのとしないのはどちらが安定するか?
サージカルステントを用いて将来の補綴物とのズレを意識しながら、スクリュー固定にこだわっている(尾関)
3、インプラントと天然歯が混在した場合、交合の与え方で配慮すべき点は?
歯根膜の有無、生理的動揺の違いをどう考えるべきか?
まず均等に与える。特に差を与えない
30umの交合紙を日々ぬけ等みる癖。(榎本)
インプラントのほうが強く当たるのではないのか?(塩田)
4、複数埋入の場合、連結か単独か?
ポンピング現象を防ぐ意味では単独がよい。
交合の問題も兼ね合い(加藤)
5、非切開のガイデッドサージェリーを、CT撮影をすれば距離関係が正確だというのは?
CTの計測にズレはない。
ただし、撮影時のステントにズレが生じる場合がある。
6、抜歯即時の選択基準は?
ITIのtype1~4の基準。(尾関)
炎症がある場合が殆どなので、3週まつ。感染の有無(榎本)
7、セメント固定かスクリュー固定か?
仮着しリムーバー。冠の中身にいれると浮き上がるので、アバットメント側面にチョンチョンと置く。ただしパッシブフィットつまり逆さまにしても落ちない勘合が必要。(榎本)
サイドスクリューを使うと審美も解決するが、技工が困難。何かあったら外せるほうが良い。
7割ほど永久仮着している(大久保)
8、プラークコントロールはどのレベルでオペできると考えるか?
PCRは25%、オレリーは10%が基準
モチベーションが大切。(新井)
9、口腔乾燥症への適応はZ?
シェーグレンに2例行った。
2つはやらない論文、1つはQOLの観点で推奨した論文。
どうしても義歯が痛く困っている患者さんに、リスクを説明して、メンテナンスに十分注意する。
10、エビデンスのあるソケットプリザベーションの方法があるのか?
多分ないと思う。現状経験則でやっている(加藤)
ヂューリッヒ大学のユングは、バイオスメンブレムを入れるべきといっていて、コラーゲンのみはだめといっているが、かえって埋入しにくいのではないか?(塩田)

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