川崎区の歯医者、歯科

ビスフォスフォネート系薬剤(BP剤)の顎骨壊死

近年ビスフォスフォネート系薬剤(BP剤)による顎骨壊死の副作用が報告され、問題になっております。
現在疫学調査がなされており、報告症例も大分でてきておりますが、どの薬剤がとか因果関係については確たる証拠はありません。
傾向的にいえることは、骨肉腫予防の”ゾメタ”などの注射剤は要注意。ボナロンなどの骨粗しょう症
内服薬は副作用が少ないといえそうですが、ないわけではないようです。
いずれにしても、インプラント治療は要注意ですし、歯周病にも罹患しないよう歯科医院でのメンテナンスをしっかり行う必要があるようです。
以下、日本口腔外科学会発行の治療説明書を掲示しておきます。


ビスフォスフォネート系薬剤の使用経験または使用予定のある方への
歯科治療および口腔外科手術に関する説明書
ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP)は、骨粗しょう症や癌の骨転移・多発性骨髄腫など骨が吸収する病気に対し非常に有効なため、現在日本では100万人以上の方々がこの薬剤を使用しているといわれています。ところが最近、BP使用経験のある方が抜歯などの骨に刺激が加わる治療を受けると、術後に顎骨が壊死する場合があることが分かってきました。顎骨壊死とは顎骨の細胞が死滅する現象で、歯肉腫脹・疼痛・排膿・歯の動揺・顎骨の露出などが生じます。壊死が進行すると病的骨折が起こったり顔面皮膚に瘻孔を形成したりして難治性となり顎骨が高度に吸収することもあります。現在のところBPが原因で発生した顎骨壊死に対する確立された治療法はありませんが、一般的には抗菌薬、鎮痛薬の投与や手術が行なわれています。BPによる顎骨壊死の発生機序は不明ですが、多くは抜歯後に発症しています。海外(アメリカ、オーストラリア)の調査によると、抜歯を行なった場合、骨粗しょう症でBPを内服している患者さんでは1000人中1~3人の方に、悪性腫瘍でBPの注射を受けている患者さんでは100人中7~9人の方に顎骨壊死が生じたと報告されています。2007年10月に発表された日本口腔外科学会による調査では、日本でも30例の顎骨壊死が発生したことが判明しました。
一般の歯科治療(歯石除去、虫歯治療、義歯作製など)で顎骨壊死が生ずる可能性が全くないわけではありませんが極めて稀といわれています。顎骨壊死のリスクが高い治療は、骨や骨膜への侵襲を伴う外科的処置(抜歯、歯科インプラント、歯周外科など)です。ただし、顎骨壊死を起こさないために、全く抜歯を行なわないというわけにもいきません。抜歯が必要な歯を放置することで口腔内が不潔になったために発生した顎骨壊死も報告されているからです。BPの長期使用、癌に対する化学療法、顎骨への放射線治療、ステロイド剤の併用、糖尿病、喫煙、飲酒、口腔内の不衛生などによっても顎骨壊死の発生率は増加するといわれています。
以上のことから、当科では、BPの使用予定の方あるいは使用経験のある方に対しては、担当(処方)医との連携の下、綿密な口腔内検査・画像診断・口腔ケアを前提に、以下の方針で歯科治療および口腔外科手術を行い顎骨壊死の予防に努めます。
1)一般の歯科治療
顎骨や歯肉への侵襲を極力避けるよう注意して歯科治療を行ないます。治療後も義歯などにより歯槽粘膜の傷から顎骨壊死が発症する場合もありますので、定期的に口腔内診査を行ないます。
2)抜歯・歯科インプラントなど顎骨に侵襲がおよぶ治療
*BPの投与が予定されている方に対して
1.感染源となる残根や高度の歯周病などがあれば、投与1か月前までに抜歯や歯周外科手術を行ないます。
2.感染源となりやすい歯科インプラントや完全埋伏歯の抜去は避けることを勧めます。
3.BPの注射投与が予定されている場合は、投与開始2~3週前までに外科的処置を終了します。
*BPを内服している方に対して
1.内服期間が3年未満でコルチコステロイドを併用している場合、あるいは内服期間が3年以上の場合は、BP内服中止可能であれば手術前少なくとも3か月間はBPの内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBPは休薬していただきます。
2.顎骨壊死の危険因子(糖尿病、喫煙、飲酒、癌化学療法など)を有する方もBP内服が中止可能であれば手術前少なくとも3か月間はBPの内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBPは休薬していただきます。
3.BP内服期間が3年未満で危険因子のない方に対しては、通常のごとく歯科手術を行ないます。
*BPの注射投与を受けている方に対して
1.どうしても必要な場合を除き歯科手術は受けないことをお勧めします。
2.歯科手術の際、BPの注射を中止するべきか否かは明確ではありません。
3.手術を行なった場合、手術部位が治癒するまでの2~3週間はBPの注射は延期を勧めます。
4.悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症あるいは骨関連事象(骨痛や病的骨折)のリスクが高い患者では、BPの注射を継続することもあります。
なお、BPの休薬・再開などについては、担当(処方)医師と充分相談の上決定し顎骨壊死の発生予防に努めますが、上記の処置方針に従ったとしても顎骨壊死が生じる危険性があります。
平成  年  月  日    担当医             
同意書
私は、すでに行われた検査にもとづいて診断された以下の状態に対して、治療が必要であることを理解し治療を受けることに同意いたします。また治療に際して、顎骨壊死が起きる可能性があることの説明を受け了解もしています。私は、もし顎骨壊死になった場合、その治療を行う専門の施設での治療が必要であることも承知しています。
部位 / 診断名:                 
手 術 名 :                    
平成  年  月  日  本人の署名:                
両親・保護者(法定代理人)の署名:                

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